ウォッシュド?ナチュラル?精製方法で変わる味
コーヒー豆は「コーヒーチェリー」という果実の種です。収穫した果実から種を取り出して乾燥させる工程を精製(プロセス)と呼び、ここでの方法の違いが、産地や品種に匹敵するほど味を左右します。
ウォッシュド(水洗式)— クリーンさの代名詞
果肉を機械で除去し、水槽で発酵させてぬめりを落としてから乾燥させる方式。雑味の原因になる要素を徹底的に取り除くため、クリーンで輪郭のはっきりした酸味が出ます。豆本来のポテンシャルがそのまま見える「すっぴんの味」。イルガチェフェやケニア ニエリなど、高地産の上質な豆と相性抜群です。
ナチュラル(乾燥式)— 果実味の爆発
果実ごと天日で数週間乾燥させる、最も原始的な方式。乾燥中に果肉の糖分と香りが種に移るため、いちごやワインを思わせる濃厚な果実味が生まれます。シダモやグジの「モカフレーバー」はこの製法の産物。個性が強いぶん、乾燥の管理が悪いと発酵臭が出るリスクもある、ハイリスク・ハイリターンな方式です。
ハニープロセス — 両者のいいとこ取り
果肉は除去しつつ、ぬめり(ミューシレージ)を残したまま乾燥させる中間方式。名前の通りはちみつのような粘性のある甘さが特徴で、ウォッシュドのクリーンさとナチュラルの甘みを兼ね備えます。コスタリカ タラスがこの方式の聖地です。
スマトラ式 — インドネシアだけの特殊解
乾燥途中の生乾きの状態で脱殻してしまう、湿潤なスマトラ島で発達した独特の方式。大地を思わせる重厚なコクとハーブ感という、他のどの製法でも出ない味になります。マンデリンの唯一無二の個性はここから生まれています。
選び方とブレンドへの応用
| 精製 | 味の方向 | こんな人に |
|---|---|---|
| ウォッシュド | クリーン・酸味くっきり | すっきり派・豆の個性を知りたい人 |
| ナチュラル | 果実味・発酵感のある甘み | フルーティ好き・浅煎り派 |
| ハニー | 甘みとバランス | 甘いコーヒーが好きな人 |
| スマトラ式 | 重厚・低酸味 | 深煎り・カフェオレ派 |
ブレンドでは、ウォッシュドのベースにナチュラルを2〜4割挿すと、クリーンさを保ったまま果実味を足せます。逆にナチュラル同士を重ねると発酵感が強調されすぎることがあるので注意。